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バッジで痴漢被害を防げるが、単に配っているわけじゃない
6月にはいり、各地で鉄道会社と警察が連携した痴漢撲滅キャンペーンが繰り広げられた。
私が注目したのは、警視庁石神井署と地元の女子高校生が西武池袋線・石神井公園駅前で、痴漢被害防止のチラシなどを配ったニュースだった。ネットで流れてきた動画では、女子高生たちは胸元に「STOP痴漢」と描かれたバッジをつけていた。道行く人に、チラシと一緒にこのバッジも配布しているのが映っていた。
缶バッジを使って、痴漢行為を未然に防ぐというアイデアは、2015年に当時、高校2年生だった殿岡たか子が自分の経験から考えたものだ。
「痴漢は犯罪です。私たちは泣き寝入りしません」と描いたバッジをカバンにつけるだけで、1年以上続いていた痴漢被害がピタっと止んだ。
バッジひとつで痴漢が犯罪行為をやめ、被害も痴漢冤罪も起きない。誰も傷つかない解決策だと驚いた。100年以上、解決策が見つからなかった電車内痴漢犯罪を撲滅するのに、これ以上いい方法はない! と考え、痴漢抑止バッジを普及するために痴漢抑止活動センターを立ち上げた。
埼京線で通学する70名の女子高校生に9か月間使用してもらったところ、94.3%が「効果を感じた」と回答している。残りの5.7%は「(痴漢に遭ってないから)変化なし」の回答だった。
このように、痴漢抑止バッジの効果は高い。しかし、それは「正しい使い方」をした場合に限られる。
痴漢は後ろから触ってくることが多いため、「後ろに立つ人に見えるようにつける」のが重要なポイントになる。ニュースの女子高校生のように胸元につけても効果はないだろう。
当センターでは、バッジのつけ方以外にも、電車内で気を付けるポイントを伝えるイラストマニュアルを同梱している。バッジをきっかけに防犯の知識も持ってもらうためだ。
バッジデザインは、毎年夏に「痴漢抑止バッジデザインコンテスト」を実施し、全国の学生からデザインを募っている。
昨年は全国から1091作品の応募があった。3割は男子からの応募だった。
私たちは被害にあいやすい人に「バッジをつけて身を守りなさい」と言いたいわけではない。
痴漢抑止バッジというツールを使い、社会全体の「痴漢するなんてありえない‼」という意識を育てるためにコンテストを継続している。「痴漢は犯罪」という意識を持った男子は、痴漢をしない大人になるだろう。
単に缶バッジを作って配っても痴漢犯罪ななくならないだろう 。
今の被害者を守り、将来の加害者を減らし、社会の意識を変える。私たちの活動の思いを丁寧に伝える必要性を痛感している。
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メディア掲載
2022.05.04:痴漢NO 企業、異例の連携(毎日新聞)
2022.06.07:「痴漢、助けて」少女がかざしたスマホ 気づいた周囲がとった行動(朝日新聞)
2022.06.17:首都圏ネットワーク ネタドリ(NHK)
2022.06.17:現役の駅員「できることに限界も…」痴漢対応の現場とは(NHK首都圏ナビ)
ユーザーの声
痴漢抑止バッジの購入者からハガキが届いています。掲載許可をいただいている声をご紹介します。
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デザイナーの思い
【デザイナー:すずき(北海道芸術デザイン専門学校)】
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パトカーのような鳥のシマエナガをデザインしました。身に着けやすさとメッセージ性を両立させられるよう、一見可愛らしい鳥ですが、パトカーのような全体の配色や、怒った表情のデザインから警察や逮捕を連想し、痴漢は犯罪であること強く意識できるものにしました。
痴漢は犯罪であることが広く認識され、すべての人が痴漢に怯えることなく、安心して自分らしく生活できる社会にしたいです。少しでも痴漢防止の力になれることを願って、今回缶バッジの制作をしました。また、今後も積極的に痴漢防止活動に参加し、被害を無くしていきたいです。
【発行者コラム】
■ごはんを炊いたら、水加減を間違えたわけでもないのに、カピカピな炊きあがりになってしまいました。なんでだろう? と思ったら、内蓋をするのを忘れていました。■内蓋がふっくらツヤツヤごはんを支えているとは!■最近は、認知症の舅(94才)と13路盤で囲碁を打つのが日課です。3分前のことも忘れる舅なのに、囲碁はしっかり打てて、初級者の私は歯が立ちません。修行中です。(松永弥生)
【マンスリーサポーター募集中】
通学電車・バス内での痴漢から子ども達を守りたい!(月1000円~)