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関西の鉄道事業者17社局が、痴漢撲滅ポスターを掲出
この数年で痴漢を始めとした、性暴力・性犯罪に対する社会の意識が大きく変わってきたと強く感じる。
それには、いくつかの要因が考えられる。110年ぶりの性犯罪に関する大幅な刑法改正。2017年にハリウッドから始まり、日本でも広がった #MeToo運動。2019年3月に続いた性暴力の無罪判決から、被害者によりそう#WithYouの声を上げるために始まり、現在も続くフラワーデモ。
何か1つがきっかけではない。ひとつひとつの出来事が、複合的に絡み合って、世の中の風潮を変えてきた。
きっかけのひとつに、2015年に誕生した痴漢抑止バッジの存在と、啓蒙を目的とした「痴漢抑止バッジデザインコンテスト」があげられると、私たちは自負している。
保守的と言われることが多い鉄道会社の姿勢にも変化が現れた。
2022年夏、神戸市交通局が兵庫県警と連携して市バス・地下鉄の車内、地下鉄の駅構内に"チカンに遭ったら、見たら迷わず110番!"を強調した「痴漢撲滅ポスター」掲示した。車内に掲示された110番通報を促すポスターは、SNS上で話題になり、高い評価を得た。
今、痴漢対策のポスターは、被害者に注意を促すものから、周囲の人が被害者をまもろうという流れになっている。
第三者介入があれば、加害者は痴漢行為を止めるというデータが愛知県鉄道警察隊の発行する「痴漢・盗撮撃退ハンドブック」にも記載されている。
当センターも、電車内で痴漢行為が多発する要因のひとつとして、周囲の無関心を指摘してきた。これまでは、社会が痴漢行為を「これくらいのこと」と軽くみて容認したり、被害者の多くが「しかたがない」とあきらめたりしてきた。
そんな社会は、終わりつつある。
4月1日(土)より、関西の鉄道事業者17社局が、痴漢撲滅にむけたポスターを掲出する。ポスター制作にあたり、鉄道会社からの要請があり痴漢抑止活動センターも協力させていただいた。
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デザインで心がけたのは、被害者を孤立させないことだ。痴漢犯罪を被害者と加害者の課題にするのではなく、社会全体で解決すべき犯罪という認識を可視化する点に注力した。
電車に乗り合わせた多くの善良な人々が、行動する第三者(アクティブバイスタンダー)になれば、電車バス内での痴漢行為をするのは難しくなるだろう。
電車内が、誰にとっても安心安全な空間になることを切望している。
メディア掲載
2023.02.02:許さない! 痴漢から受験生を守る(NHK「みみより!暮らし解説」)
2023.02.02:許さない! 痴漢から受験生を守る(NHK「解説委員室」)
2023.03.24:【プレスリリース】関西の鉄道事業者17社局が 4月1日(土)より痴漢撲滅にむけたポスターを掲出します。(関西鉄道協会)
ユーザーの声
痴漢抑止バッジの購入者からハガキが届いています。掲載許可をいただいている声をご紹介します。
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デザイナーの思い
【デザイナー:木村燦汰(HAL名古屋 ゲームデザイン科)】
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痴漢を未然に防ぐために、警告色の「黄色」と「黒色」を使って、一目でわかりやすいデザインにしました。
目立ちやすさ、伝わりやすさを重視し、さらに誰でも気軽に付けやすいシンプルなデザインにしました。
今回のバッジ制作を機会に痴漢の実態を知ることができました。
このプロジェクトが痴漢抑止に繋がり、痴漢という犯罪を重く受け止め意識することで、みんなが生活しやすい社会を作っていけたらと思います。
【発行者コラム】
■年末に、家族全員がコロナに罹ってしまいました。幸い、私と夫は軽症でした。認知症(95歳)の舅は、コロナは治ったものの、体力回復できず永眠しました。舅ともっとたくさん囲碁を打ちたかったです。■先週末に、初めて水陸両用バスに乗って、大阪観光をしてきました。桜が咲き始めていて、最高のタイミング! 観光バス体験は、地元の魅力再発見の機会になりました。(松永弥生)
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