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第三者介入によって、電車内の痴漢は止められる。
2023年12月25日、東京都が「痴漢に関する大規模調査」の報告書を発表した。
この調査は8月にインターネットで実施された。都内在住・在勤・在学の16~69歳を対象に痴漢の被害を尋ねたものだ。回答者8284人のうち「痴漢被害に遭った経験がある」は男女合わせ2475人(29.9%)。女性は回答した4750人のうち2156人(45.4%)、男性は3474人のうち298人(8.6%)に被害の経験があった。
被害場所は「電車内」が8割を超えた。被害にあった時の対応は「我慢した、何もできなかった」が4割を超えている。
しかし、被害者が「加害者をにらむ、足を踏む、手首をつかむ、声をあげる」などのアクションをおこせば、痴漢行為の7~8割が止むという。ただし、こうした対応ができたのは、被害者の1割強と少ない。勇気を出して、行動に移したあと、恐怖や安堵で感情が高ぶる状況もみられ、極限の精神状態の中での行動だったことがアンケート結果からわかる。
痴漢被害の実態調査は、2021年に福岡県警が、2022年に共産党も実施している。被害者数に違いはあるものの、被害現場が「電車内」がもっとも多いという点は共通している。「我慢した、何もできなかった」被害者が多い点も同じだ。
今回、東京都の調査で新しい視点は、加害者・被害者に属さない第三者の行動や心情にもフォーカスした点だ。
電車内・駅構内での痴漢目撃・居合わせ率(生涯経験率)は11.2%。残念ながら、痴漢行為を見かけた時に、やめさせたケースは数%と少ない。しかし、第三者が介入すると痴漢が止まったとする被害者の回答は9割超に達している。
第三者が、加害者に注意したり、捕まえたりするのは、ハードルが高い。けれど、困っている様子の被害者に「大丈夫ですか?」「具合が悪いですか?」と気遣う声をかけるのはできるだろう。
痴漢抑止活動センターは、2015年に活動を始めた当初より「被害者を孤立させない」点に留意してきた。希望者に無料配布している痴漢抑止バッジは、被害を未然に防ぐとともに「子どもを性暴力から守ろうとする大人がいる証」だ。
最近では、駅構内に掲示される痴漢撲滅ポスターも、被害者に自衛を求めるものから、第三者に見守りや声掛けを呼びかけるものに変化してきた。
被害者を気にかけている人がそばにいる。それが分かれば、加害者は痴漢行為を止める。この新常識が世に広がれば、被害者を助けてくれる人は今よりも増えるだろう。そして、加害者は痴漢行為をしづらくなる。社会がよい方向に変わりつつあるのを感じている。
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メディア掲載
掲載日 |
タイトル |
掲載紙 |
2024.01.04 |
「絶好の痴漢日和」…受験生を泣き寝入りさせない! 本人と周囲の大人ができる対策、活動続ける女性に聞いた |
まいどなニュース |
2024.01.12 |
なぜ受験生が我慢せねば…痴漢撲滅に大事なことは? 内閣府も注意喚起「共通テストは追試験できる」 |
まいどなニュース |
2024.01.12 |
あすから共通テスト 痴漢あおる投稿相次ぐ 受験生守る行動を |
NHK |
2024.01.14 |
痴漢許さない 神戸で受験生見守り行動 |
新聞赤旗 |
2024.01.24 |
あの子、痴漢に遭っているのでは?←自信がなくても助けられます「これ良いなあ!」「真似させてもらいます」 |
まいどなニュース |
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ユーザーの声
痴漢抑止バッジの購入者からハガキが届いています。掲載許可をいただいている声をご紹介します。
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デザイナーの思い
【デザイナー:アユミ/東京理科大学】
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痴漢を未然に防ぐために、加害者がバッジを見た瞬間にドキリとするようなデザインにしました。
私自身が痴漢の被害にあいかけた際、隣に立っていた70歳くらいのお婆さんが加害者に『恥を知りなさい。』と一言言ってくれたおかげで私は被害を受けずにすみました。
お婆さんの勇気ある一言で、今度は私が誰かを守ることができればいいなと思います。
【発行者コラム】
■家庭用囲碁ロボットを購入しました。私は碁会所で5級位と言われていますが、囲碁ロボット9級と対局して全く歯が立ちません(泣 ■先日、神戸元町に行った時、スマホを見ながらキョロキョロしている旅行者がいました。気にかかって足を止めたら、道を尋ねられ、神戸ポートタワーまで案内しました。言葉は通じないけれど、スマホの翻訳機能で乗り切りました。楽しかったです。松永弥生
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