
10年前、痴漢抑止活動をはじめた時に聞いた言葉
今から10年前、私が痴漢抑止の活動をはじめた頃に、ある女性がこう言いました。
「高校生の頃、私は痴漢被害にあっていました。でも、あの時の私は『イヤだ』と言えなかった。バッジを見て、私には『イヤだ』という権利があったんだと、初めて気づきました。」
この言葉を聞いたとき、私は衝撃を受けました。 「イヤだ」という権利。それがあることすら、多くの人が知らずにいる。
彼女は、被害にあったときに、何もできなかった自分を責めていました。でも、本当は「イヤだ」と言っていいんです。
人ごとではなく、私も「イヤだを主張する権利」があることを知らずにいました。ハタチの頃に、毎日電車の中で痴漢に遭っていたけれど、身体を触ってくる手を払うのが精いっぱいの抵抗でした。
だって、私たちは、「イヤだという権利」を誰からも教わらずに生きてきたんです。
痴漢抑止バッジは、「イヤだ」という意思表示
痴漢抑止バッジは、ただのアクセサリーではありません。 これは痴漢行為を仕掛ける人に対して、「イヤだ」と伝えるツールです。 でも、それは本当は、バッジをつけていなくても、誰もが持っている権利です。
けれど、日本では、「大人に逆らわない子がいい子」という価値観が根強くあります。 だから、子どもたちは大人に対して「イヤだ」と言う練習をする機会がない。 そのまま成長し、性暴力や性被害にあっても、声を上げられずに苦しんでいる人がたくさんいます。
「イヤだ」と言うことは、自分を守ること
嫌なことをしてくる相手には、「イヤだ」と言っていいんです。 それはわがままではなく、自分を守ること。
痴漢は犯罪です。 被害に遭わないのが一番いい。 でも、もしその危険があるなら、「イヤだ」と伝える手段を持っていてほしい。
そのひとつが、痴漢抑止バッジです。 「私はイヤです」 「私はあなたの勝手に従いません」 その意思表示をすることで、被害を未然に防ぐことができるかもしれません。
これは、私たちの権利
バッジをつけることで、「私は『イヤだ』と言っていいんだ」と自分自身にも伝えてほしい。 そして、過去の私と同じように「イヤだ」と言えなかった人が、それを思い出せるきっかけになればと思います。
これは、私たちの権利です。 どうか、その権利を知ってください。そして、行使してください。
痴漢被害に苦しむ子どもたちが、声を上げられないまま泣き寝入りする社会であってはいけません。
私たち大人ができることのひとつは、「イヤだと言っていい」と、子ども達に伝えること。そして、その手段を届けることです。
私たちは、そのために痴漢抑止活動を続けてきました。
あなたも痴漢抑止バッジを必要としている子に、無償で届けるサポーターになってください。あなたの支援が、子どもの「イヤだ」を守る力になります。
今日も聞いてくださり、ありがとうございました。