
1. 10年前の誹謗中傷を思い出す
今回の炎上を見ていると、10年前に痴漢抑止活動をはじめた頃を思い出します。
当時、女子高校生だった殿岡たか子さんが、電車内で痴漢被害に遭ったことを訴えたとき、ものすごい誹謗中傷を受けました。
「痴漢抑止バッジをつけている女が電車内にいたら迷惑だ」
「こんな女子高校生は存在しない、プロ市民のでっち上げだ」
「バッジをつけてる女はブスに決まっている」
こういった悪質な言葉が、当時SNSにあふれていたのです。
なぜ「痴漢を未然に防ぎたい」というシンプルな思いに、ここまで攻撃が集中してしまうのか。
それは、被害者に責任を押し付けようとする社会の構造が根深くあるからだと思います。
あれから10年。痴漢抑止バッジをつけていることで「安心できる」「助けられた」という声が増え、状況は少しずつ変わってきました。
でも、今回のような誹謗中傷を見ると「10年経っても、まだこれなのか」と、正直、悔しさを感じます。
2. ライブ会場での痴漢問題
そして今回のケースは「ライブ会場」での痴漢です。
実は、ライブ会場での痴漢被害に関する相談は、2年ほど前から痴漢抑止活動センターにも届いています。
特にモッシュやダイブがある会場では、
- 「バッジをつけていると危険」
- 「バッジそのものが禁止されている」
こういった事情もあって、痴漢抑止バッジが使えないという現実があります。
だからこそ、主催者やアーティスト側が「痴漢を許さない」という強い姿勢を示すことが重要になんです。
実際に関東や屋外ライブでは、アーティスト自ら「痴漢は許さない」とXで発信しているケースも増えています。屋外ライブでは、主催者が大型モニターに痴漢加害者に対する警告を出している例もあります。
でも、今回のライブ会場は大阪でした。
被害を訴える投稿を読むと、主催者側に「ライブ会場で痴漢が起きる可能性がある」という認識や、トラブル時の対応マニュアルが不十分だったのではないかと感じます。
被害者の告発ポストを読むと、「スタッフが動いてくれなかった」という内容がありました。
やはり、被害があったときにどう対処するのか、アーティストと主催者が事前にしっかり検討しておくことが必要です。
3. 「打首獄門同好会」の対応に学ぶべきこと
こうした中で、バンド「打首獄門同好会」の取り組みは非常に参考になります。
打首獄門同好会は「もしライブ中に痴漢に遭ったら、スマホを頭上に掲げて」とXでファンに呼びかけています。
>>撮影禁止のライブでは、スマホを頭上に掲げると「ん?撮影してる?」と周囲の注意を引きます。スタッフも「撮影だったら止める」責務があるので、必ず駆けつけるはずです。
これが何を意味するかというと、
- 「助けを求める方法を事前に共有する」
- 「スタッフが適切に動ける体制をつくる」
これが、被害を抑止する効果になるということです。
打首獄門同好会のほかにも、同様に痴漢を許さない宣言をしているバンドやアーティストさんがいます。毅然とした態度で、「痴漢を許さない」と明言する方々に、心から敬意を払います。
こうした対応を業界全体に広げていくことで、ライブ会場での安全が確保されるようになるはずです。
4. 痴漢抑止活動センターとしてできること
私たち痴漢抑止活動センターとしても、
✅ 被害者を責める声には「それは違う」と声を上げる
✅ 被害者が声を上げたときに「あなたは悪くない」と伝える
これを引き続き行っていきます。
痴漢被害が減るためには、「被害者を守る」という姿勢を社会全体で持つことが必要です。
そのためには、声を上げている方を責めるのではなく、「声を上げてくれてありがとう」「あなたは悪くない」という言葉を届けることが大切です。
5. まとめ:被害者を守る社会をつくろう
最後にもう一度伝えたいのは、「被害者が悪い」という考えを社会からなくすことです。
痴漢が起きた時、「どうして声を出せなかったのか」ではなく、
「怖かったよね」「助けられなくてごめん」と伝えることが、被害者の救いになります。
10年前に誹謗中傷に耐えながらバッジを広めてきた経験から、私は「声を上げることの大切さ」を知っています。
だからこそ、今回声を上げてくれた被害者を、私たちが守らなければならない。
誹謗中傷に負けず「痴漢は許さない」という声を、私たちも一緒に広げていきましょう。
今日も読んでくださって、ありがとうございました。
共感してくださった方が、サポーターになってくださったら嬉しいです。