
バズったポストの背景にある思い
先日、Xに投稿した「エスカレーターの乗り方」に関するポストが、大きな反響を呼びました。
内容は、「エスカレーターに乗る時は、斜め前方を向くと後方にも視界が届き、盗撮されにくい」と、モデルさんに撮影協力をいただいて投稿したものです。
この投稿のきっかけは、あるニュース記事でした。
奈良市内の駅で、女子高校生のスカート内にスマホを差し入れて盗撮したとして、25歳の男が逮捕されたのです。
しかも警察の調べに対して、男は「性的な快感を得るために撮影していた」と供述したといいます。
私は、この報道を見て言葉を失いました。そして、こう問いかける形でポストしました。
「なぜ、駅での盗撮が迷惑防止条例違反? 相手の同意を得ずに下着を盗撮しているのだから、性的姿態等撮影罪を適用してもらいたい」と。
そのあとコメントの形式で「盗撮されにくいエスカレーターの乗り方」をシェアしました。それが、1,384万インプレッション。賛否両論を呼びました。
コメント欄にあふれた声:共感と批判の両方
投稿には、共感と批判の両方が寄せられました。
共感の声として多かったのは
「盗撮されたことがあるから、自衛は必要だと思う」
「自衛手段をシェアするのは悪いことではない」
「私も同じ立ち方をしていた」
「当時、この乗り方を知っていればよかった」
といった、実際の経験に基づいたコメント。
一方で、批判の声もありました。
「悪いのは盗撮するやつであって、被害者に自衛を求めるな」
「女ばかり自衛を強いられるのはおかしい」
「中にスパッツを履いてるから大丈夫だろ」
そして「自意識過剰w」という、嘲笑に近い反応も見られました。
どちらの声も、私は真剣に受け止めています。
特に、「なぜ女性ばかりが自衛を求められるのか」という疑問は、これまで活動している中で何度も耳にしてきました。
盗撮も痴漢も、性暴力であるという事実
まず、はっきりと言いたいのは、盗撮も痴漢も、性暴力であり、加害者が100%悪いということです。
これは、痴漢抑止活動センターとしての私たちの一貫した立場でもあります。
たとえ被害者がどんな服装をしていようが、立ち位置がどうであろうが、「盗撮する側が悪い」というのは当然の大前提です。
ですが、私があの投稿で伝えたかったのは、
「盗撮されるのは嫌だから、自分でできる対策を知っておくのも一つの手段だ」
ということです。
自衛策があれば未然に防げたかもしれない、という事例も多いからです。
「被害にあってからでは遅い」その実感
盗撮の被害は、目に見えにくく、気づきにくいものです。
けれど一度盗撮されれば、その画像がどこかで拡散されるかもしれないという恐怖が残ります。
「中にスパッツを履いているから大丈夫だろ」などという意見もありましたが、下着が写っていなければ平気、という話ではありません。
撮られること自体が、気持ち悪い。怖い。傷つく。
「盗撮されたかもしれない」と不安になって過ごす毎日が、どれほど消耗するか。それを想像してほしいのです。
だからこそ、加害行為をなくすための社会的な取り組みと並行して、私たちは「自分を守る手段」も同時に伝えていく必要があると考えています。
スマホとスパイカメラが変えた「盗撮のしやすさ」
昔は、盗撮行為にはある程度の機材や手間が必要でした。
けれど今は、スマホに搭載されたカメラや、簡単に入手できる小型のスパイカメラがあります。
誰でも、どこでも、ワンタップで撮影できてしまう時代です。
しかも、駅やショッピングモールのエスカレーターなどは、段差があるため後方からの盗撮がしやすい環境になっています。
それでも、社会の盗撮に対する意識はまだまだ追いついていません。
駅で、盗撮を疑っても声を上げる人はまだ少ない。
盗撮された子が怖くて言えないまま泣き寝入りする。
そんな状況が、今もなお続いています。
「盗撮されにくい姿勢」が広がってほしい
警察や鉄道会社の中には、「盗撮されにくい立ち位置」を案内しているところもあります。
でも、その情報が十分に伝わっているとは言えません。
だからこそ私は、今回のように注意喚起をシェアする投稿をしたのです。
「盗撮されにくい姿勢を知っておきたい」と思ってくれる人が、一人でもいたなら。
その情報が必要だった誰かに届いたのなら。
それだけで意味があると思っています。
最後に:怒りの声が、社会を変える
今回の件で改めて感じたのは、
「なぜ女性ばかりが自衛しなければならないのか」という声が、確実に社会に増えてきているということです。
その声は、大切にしたい。
声を上げることは、社会を変える原動力になる。
だから、これからも痴漢や盗撮のニュースを見たら、怒っていい。疑問を持っていい。声をあげていい。
私たちも、その声と一緒に、社会を少しずつでも変えていきたいと思っています。