
学生に託したい、等身大の想像力
「痴漢抑止バッジデザインコンテスト」を学生限定で続けているのには、明確な理由があります。 それは、痴漢の被害に遭っているのが、まさに学生世代の子どもたちであり、彼らにとって身近な問題であるからです。
決して「自分とは関係のないこと」ではなく、すぐ隣で起きている深刻な社会課題です。
だからこそ、若い世代にデザインを通じて痴漢問題に向き合ってほしいと考えています。 「どうすれば被害を防げるのか」「どんなメッセージなら届くのか」。 そうした問いに向き合い、自らの感性と思考で形にするプロセスに、大きな意味があると信じています。
無意識に届く力、それがデザイン
デザインには、言葉を超えて人の心に訴えかける力があります。 見る人の無意識に作用し、行動や意識の変化を促す力があります。 言葉で説得しようとすると反発を招くことがありますが、デザインはより自然に深層意識に入り込むことができます。
痴漢抑止バッジは、小さなアイテムですが、その小さなデザインが、誰かの勇気を支えたり、加害者に「これは犯罪である」と気づかせたりすることもあります。
実際に、「電車に乗るのが怖かったが、このバッジがあるから乗れるようになった」という声も届いています。
言葉にできない恐怖や苦しみを、可視化すること。 それこそが、痴漢抑止バッジの持つデザインの力だと感じています。
コンテストがつなぐ、未来のデザイナーたち
コンテストの継続により、嬉しい報告も増えてきました。
「学生時代に応募していた子が、現在は自社でデザイナーとして働いている」と語ってくださる企業の方もいます。
そして今回、第4回最優秀賞受賞者である山本千春さんが、審査員長を務めてくださることになりました。 学生として応募してから約10年、今ではプロのデザイナーとして社会に作品を届ける立場となり、豊かな視点で審査に携わってくださいます。
コンテストが、誰かのキャリアの出発点になる。そうした瞬間に立ち会えることは、私たちにとっても大きな喜びです。
そして今後も、「ジェンダー意識の高いデザイナー」が社会に多く育っていくことを心から願っています。 広告、パッケージ、制服、空間設計など、あらゆるデザインが社会に与える影響は大きく、その質が変わることは、私たちの暮らしを変えることにもつながります。
今年の夏も、あなたの想いを形に
この夏も、多くの思いがこもった作品に出会えることを楽しみにしています。
「誰かを守りたい」「伝えたいことがある」。 そのような気持ちは、きっと誰かの心を動かします。
あなたのデザインが、誰かの勇気になる。
皆さまからのご応募を、心よりお待ちしております。
そして当センターの活動や理念に共感してくださった方は、一緒に痴漢(性暴力)のない社会を目指していきましょう。ぜひサポーターになって活動の一員になってください。