我が国の野生動物をめぐる状況は転換期にあります。農林水産業被害や生態系への悪影響など、野生動物による様々な問題が全国各地で激化しています。昨年史上最悪のクマ・ヒグマによる人身被害が報告されましたが、なかなか解決の兆しは見えません。
この問題を解決するためには、野生生物との共生のための科学的な保護管理策=ワイルドライフマネジメントを実行する研究者や実務者などの社会実装(都道府県や市町村への配置)が不可欠ですが、そのために専門人材教育を行う高等教育機関はありません。
世界自然遺産知床は日本初のナショナルトラスト運動と原生的自然環境復元に挑んでおり、自然生態系と生物多様性保全のノウハウが集積しています。それらを支え問題に対処する科学者集団(世界自然遺産知床地域科学委員会)が存在します。こうしたワイルドライフマネジメントの科学的蓄積を生かし、人材育成を行う最適地なのです。
地元知床の有志が科学者の協力を得て、このような専門教育機関を作るため、当財団は活動を続けています。そのモデル事業「知床ネイチャーキャンパス」は、教授陣による講義、知床をフィールドとした現地実習とグループ演習で構成される実践的教育プログラムとして、関連プログラムを含め過去8年間に2000名以上の受講生に実践的な知識と現場での体験を伝えています。
この活動を継続するため、寄附者・賛助会員としてお支え下さい。