活動・団体の紹介
22023年(令和5年)、特定非営利活動法人静岡市障害者協会に「障害のある人が大学等へ進学し、教育を受ける機会を支援したい」と多額の寄付が寄せられました。寄付者の願いを具体化するために企画運営委員会を設け、【しずおかTIP-OFF(ティップ・オフ)奨学金】の給付事業を新設しました。
TIP-OFF(ティップ・オフ)とは、バスケットボールで、試合開始の時に挙げたボールを両選手が弾く動作のことで、以前はジャンプボールと呼ばれていました。基金の寄付者が障害者バスケットボールの選手あったことに感謝の想いを込めて名付けました。奨学金は2024年より給付を開始しています。
活動の背景、社会課題について
障がいのある人は、高卒後の選択肢は多くの場合「就労か福祉か」、大学等の進学は数%という現況が長らく続いています。高等教育を受ける可能性や機会がないままに、〈障がい〉を理由として自らのライフステージを狭めざるをえないことも少なくありません。「ガラスの天井」の先はまだ見えていないのです。
この奨学金は、未来あるこどもたちがさらなる高みをめざして学んでいくために準備されました。毎年5名の奨学生が誕生します。一人ひとりが「地の塩」たる働きをとおして、この社会のなくてはならない貴重な役割を果たしていくことでしょう。
この基金を公正かつ恒久的に運営するために、静岡市障害者協会を足場にして「しずおかTIP-OFF奨学金」企画運営委員会が立ち上がりました。行政や企業がもつ豊富な物的・人的資源があるわけでもありませんが、それでも「はじめの一歩」を踏み出すことができました。ここ静岡から、本会は障がいのあるこどもたちと共にかけがえのない未来を拓いていきます。引きつづき皆さまのご理解をいただけば幸甚です。
活動内容の詳細、実績について
奨学金は2024年度から給付を開始しています。
内容は、
○給付額:月額5万円(年60万円)返済不要
○給付期間:修学最短期間
○募集学生数:毎年5名以内 となっています。
初年度は21名の応募があり、企画運営委員会での選考の結果、第1期奨学生として5名への支給が決定しました。
2025年度は多くの方々に当奨学金を知っていただき、36名の応募があり、第2期奨学生5名の支給が決定し、9名(1期生のうち1名は2025年3月に大学を卒業)の学生に奨学金を支給しています。
代表者メッセージ
「高校での学びの先にある事」
「心臓はどうして独りで動くのでしょうか」。あるカナダ人の若者の生涯をかけた〈問い〉でした。科学を超えた知見を求めて彼は、それから世界を旅して歩きます。終わりなき旅が教えてくれたことは(いのちのはたらき〉の〈意味〉でした。
さて、学校にはテキストがあり、回答があり、正誤表が用意されているとしても、元々人生にはテキストなどありません。だから問い続けるほかないのです。だから学び続けるほかないのです。
高校生活を終えて、その先に4年(2年)の学びの機会があるとすれば、それは未だ識らぬ世界について生涯をかけて旅していく〈はじめの一歩〉にほかなりません。「障がい」というスティグマを自らの手で剥がして新たなステージに立ってみること、TIP-OFFはそのためのささやかな契機にすぎません。地の塩たる〈いのち〉のつながりをわかち合うために。
しずおかTIP-OFF奨学金 企画運営委員長 増田 樹郎
寄付金の使い道について
この奨学金は個人の篤志家の好意で始まりましたが、資金には限度があり長くはできないと覚悟していました。しかし応募者の数や問い合わせなど反響が大きくニーズがあることがわかりました。そこで、もしかしたら趣旨に賛同し、応援して下さる市民や企業、団体があることを期待して寄付金を募集することにしました。この奨学金の維持、発展に賛同される方は、ぜひご寄付をお願いします。皆様から寄せられた寄付金の使い道については、奨学金の原資とさせていただきます。
※当奨学金を運営する特定非営利活動法人静岡市障害者協会は「認定NPO法人」です。寄付される方が確定申告をする場合には、税制上の優遇を受けられます。寄付金額の約4割の節税効果があります。また、法人の場合でも税制上の優遇があります。詳細は国税庁のホームページ(HP)をご覧ください。