一般社団法人4Hearts

情報コミュニケーションから誰ひとり取り残されない社会へ

八百屋さん魚屋さんで「どう料理したら美味しい?」と会話をしながら買い物をする。そんな他愛もないやりとりが、情報コミュニケーションバリアを感じている人には難しいのです。 代表自身は生まれつき重度の聴覚障害。活動を通して様々な当事者心理と、本質的な課題があることに気づき「スローコミュニケーションプロジェクト」を提唱しました。 2022年から、ヘッドホンを活用した体験型のワークショップを延べ500人以上に実施してきました。 スローライフ・スローフードにスローコミュニケーションを加えたまちづくりをしていくためにも、皆さまからの温かいご支援をお待ちしております。

情報コミュニケーションバリアの社会課題

レジで後ろの列に遠慮してわかったフリをする。筆談に負い目を感じて「書いて」と言い出せない。会話が分かっていないのに、場を壊したくなくて微笑んでごまかす。徐々に聞こえにくくなる自分自身を受け入れられず、お店で怒鳴ってしまう。情報が入らないことで判断ができず、色んなことを諦め、“普通”を装って生きてしまう——。

周りの人は見た目で困っていることが分からないため、身近に感じずなかなかジブンゴトになりません。咄嗟にそのような人に接した時にどう対応すれば良いか分からない。手話話者が聴覚障害者だという思い込みから、聴覚障害者に初めて会ったと言われることも。可視化されないことで、周囲の理解も進まないという悪循環が起きていました。
それは耳が遠くなったお年寄り、視覚障害、発達障害、外国語を話す方にも共通しています。

そこで私たち一般社団法人4Heartsは、この当事者と周囲の人、双方の課題を解決するため、『スローコミュニケーションプロジェクト』を提唱。
スローとは、ゆっくりという意味ではなく、「相手の事情や気持ちを想像するこころのゆとり」のこと。スローライフ・スローフードにスローコミュニケーションを加えたまちづくりをするため、一人一人に合わせたコミュニケーション方法をみんなが考える文化醸成の機運を高める活動です。「当事者心理」と「まち」の双方を意識改革していくことが狙いです。

バリアの実態と法令

日本における耳が遠いといわれる加齢性難聴を含む難聴者数は推計1430万人。そのうち、聴覚障害として身体障害者手帳を保持している人は34万人です。難聴者の82.5%が、コロナ禍による感染防止シートとマスク着用の日常化により会話がしづらくなったと回答しています。

加齢性難聴は、75歳以上で7割以上の方が発症するとされます。団塊の世代が全て75歳以上の後期高齢者となる2025年を見据え、情報コミュニケーションバリアへの対策は喫緊の課題です。

情報コミュニケーションバリアを感じている人は聴覚だけでなく、言語、視覚、高齢者、子ども、他言語話者など様々です。コミュニケーション方法や困りごとが1人1人違うなかで、誰ひとり取り残さない本質的な社会モデルが必要となっています。



2021年に改正障害者差別解消法が成立し、民間事業者において努力義務とされていた『合理的配慮の提供』が2024年4月には法的義務となります。
しかし、「何から取り組めば良いのかわからない」「どういった点で配慮が求められるのかがわからない」といった民間事業者の戸惑いの声が大きく、行政も当事者目線の啓発や発信になかなか至っていません。

また、2022年5月に施行された障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法についても、具体的なモデルとなるアクションもまだまだ十分ではありません。

当事者にとってどのような情報アクセシビリティが有効なのか、教育やサービスの現場においてどういったデバイスやツールを活用すれば良いのかといったハード面の課題。
当事者の社会参画を阻む「諦め」や「遠慮」からなるさまざまな心理課題と、社会サービスに関わる人々の意識改革といったソフト面の課題。
その両輪が噛み合わないと、形だけの導入がゴールになってしまい、有効活用にまで至らず形骸化してしまうということが日本全体で起きています。

4Heartsの活動

そこで、一般社団法人4Heartsは神奈川県茅ヶ崎市を中心に、聴覚に限らずさまざまな背景を持つ人が集まる対話の場を設けたり、ヘッドホンを活用しコミュニケーションから孤立する体験の機会を提供してきました。

さらに、2021年6月に神奈川大学と藤沢市内スーパーでの買い物における困りごとの実証、2022年9月には茅ヶ崎市内商業施設の各店舗で音声認識機器の設置実証を行い、現場に合わせた最適ツールのデータを収集。茅ヶ崎市役所一階市民ふれあいプラザでも、同年10月に3日間相談会を開催し広く市民の声を聞きました。

しかし、まだまだ社会全体がこれらの課題に気づいておらず、デバイス活用意識を当事者自身も持ちづらい社会の雰囲気が根強くあります。
そこで行政と連携し、情報アクセシビリティの社会モデルを提案していく必要があると考えています。

ご支援の使い道

バリアを感じている当事者は、いろんな物事を諦めてきた経験から、自らQOLを上げるための社会資源や技術の情報を得ようという意識が低くなりがちです。
さらに、普通を装ってしまう当事者心理もあり彼らの抱える問題が社会に可視化されにくいことも、社会の理解が進まない要因になっています。

また、そういったツールが社会にまだ普及していないことで、当事者から相手に音声認識アプリなどを見せて活用するケースが多いなど、当事者の能動的な姿勢が求められてしまうことがあります。



一方で周囲の人は、コミュニケーション支援ツールの導入そのものをゴールとしてしまいがちです。問題を抱える人々を身近に感じにくいため、とにかく導入したはいいが、そこからどう働きかければ良いのかわからない。
実際に使ってくれる人がほとんどいないと感じてしまい、そのまま埃を被ってしまう。
困っている人が来たら使用すれば良いというその場しのぎの対応になってしまう上、可視化されないことでさらに当事者の能動性に依存してしまう。


だからこそ、当事者である代表の那須が社会に働きかけることの重要性を強く感じています。

点字ブロックが建物にデフォルトで敷設されているように、コミュニケーション支援ツールもデフォルトで誰もが利用可能であり、そのための予算も最初から当たり前に確保される社会を実現したいと考えています。

皆さまからのご寄付は、大切に活動に使用させて頂きます。
3,000円のご寄付を10名の方からいただければ、10セット分のヘッドホンを購入でき、1クラス30人の児童に聞こえにくい体験型のワークショップを開催できます。

団体情報
このページは寄付・ 会費決済サービス
コングラント」で作成されています。
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