活動・団体の紹介
ゆずりはでは、児童養護施設などで生活していた人、虐待や貧困などの理由から親や家族を頼ることができない人から様々な相談を受けています。
「どこにも帰る場所がない」「借金がある」「家族やパートナーから暴力を受けている」「保証人がいない」「妊娠をした」など、一人で対応していくにはとても難しい困難や問題を、一緒に考え、整理したり、手続きするサポートしています。その他、気軽に集えるサロン、一緒に働くゆずりは工房、高卒認定の学習会、虐待に至ってしまった親へのプログラム(MY TREEプログラム)などを行っています。
活動の背景、社会課題について
児童養護施設など社会的養護のもとを巣立った子どもたちの多くは、巣立った後も、親や家族を頼ることができません。
生活の一切を自らで担い、働き、収入を得て日々の生活を維持していかねばなりません。セーフティネットとなる親や家族が機能していないことで、失敗することも立ち止まることもできない暮らしを強いられます。
そんな彼らの背景には、虐待の被害や深刻な貧困があります。虐待のトラウマに起因する精神の不安定や、精神疾患の発病等の症状によって、社会生活を円滑にすすめていくことは容易ではありません。社会的養護退所者の調査等からも、施設退所者の低学歴、離職率、生活保護率の高さがうかがえます。
多くの退所者が孤独・孤立感を抱え、可視化しづらい幾重にも重なるハンディを背負うなかで、生活破綻に陥ってしまうことは少なくありません。
困難な状況に陥る背景の一つとなる、虐待のトラウマは、暴力や暴言をふるう親と離れたからといって、消えてなくなるものでありません。
相談者の多くが、トラウマによって、人とコミュニケーションとることがとても怖くなってしまったり、フラッシュバックが起きるなどの症状に苦しめられています。
また、成人してからも、暮らしの営みには、親や家族との関係が切り離せません。就職、進学、入院、手術、不動産関係をはじめとするあらゆる契約・手続きにおいて、親や家族が保証人・緊急連絡先になることを求められます。
そこでは親や家族と円満な関係であることが前提とされています。円満であれば、大きな問題や負担はなくスムーズに進む手続きも、そうでないひとたちにとっては過度な負担となるのです。
活動内容の詳細、実績について
ゆずりはは、児童養護施設などを巣立った人を対象にした相談所としてスタートしましたが、現在はそれだけでなく、本来、保護が必要であったのに受けられないまま大人になった人たちも対象にしています。
住まいや、仕事、病気、様々な困りごとの相談を受け、生活保護の申請、通院の同行、不動産屋への同行等をしています。ひとりひとりの相談者の困っている状況や気持ちに向き合いながら、さまざまな手続きや申請をしたり、一緒にお茶をするなど、ともに過ごす時間を大切にしています。
個別の相談対応の他に、ゆずりはの場所を拠点に、気軽に集えるサロンや、一緒に働くゆずりは工房でのジャムづくり、高卒認定資格取得の無料の学習会、地域の人も集える「誰でもサロン」、子どもへの不適切な行為をやめたい親のプログラム「MYTREEプログラム」なども実施しています。
「自分なんか生まれてこなければよかった」「生きている価値がない」と苦しみを抱えているひとたちが、出会い、つながり、安心できる時間を積み重ねていくことで、自分を大切にできる気持ちが芽生え育まれていくことを大切に活動をしています。
寄付金の使い道について
ゆずりはの相談事業はすべて無料で行っています。相談の対応に必要なお金は、公的な補助金や、相談者が受けている生活保護費だけでは賄いきれません。そこで、
⚪︎相談者の交通費、ホテルなど緊急滞在費、住宅費、病院代など
⚪︎スタッフの人件費及び交通費
これらにご寄付を活用させて頂きたいと思います。
代表者メッセージ
「ゆずりは」は、東京都の地域生活支援事業を(ふらっとホーム事業)受託しておりますが、補助金のみでの運営は厳しく、個人の皆様、企業様からのご寄付や、単年度の助成金申請、講演会・執筆等の謝金を運営費として活用しながらなんとか運営してきました。一方、公費に頼りきらないことで(実際には頼ることができない現状ですが)社会的養護を経験できなかったひとへのサポートも開所時(2011年)から行ってこられました。相談者の方へのご支援はすべて無料で行っております。困難な相談に対応するためには、相応のスキルと経験を持ったスタッフの配置が不可欠です。
支援にかかる経費や人件費などもあわせると、事業にかかる費用は補助金だけではまかなえず、補助金以外で毎年1,000万円近くの金額を集めなければ運営を維持することが難しい状況にあります。
皆さまからのご支援を賜りつつ、私どもの活動が公的な事業として必要不可欠な事業であることを引き続き発信していくとともに、ゆずりはのような「安心して相談できる場所」が全国で開所されていくことを願っています。
アフターケア相談所 ゆずりは
所長 高橋亜美