自由民主党本部で行われた予算・税制等に関する政策懇談会に、弊会代表理事の米山が参加し、フードバンクを通じた食料安全保障・食品ロス削減の推進に向けて提言を行いました。
提言の具体的な内容としては、主に以下の2点を述べさせていただきました。
現在、物価高騰の影響で 84%のフードバンク団体で支援要請が増加する一方、61%の団体で食品寄附が減少しており、全国の多くの団体が 有給スタッフ不在・事業費500万円未満という脆弱な体制で活動を続けています。また、暫定的な生活困窮世帯に必要な食料支援量を推計すると、現在の約15倍(約24万トン)が必要であるにもかかわらず、国内フードバンクの取扱量は 1.65万トン(米国の約450分の1)にとどまっています。
一方アメリカでは、農務省(USDA)による「TEFAP」制度やインフラ整備への大規模支援が長期的に実施され、フードバンクの運営体制を強力に下支えしています。
日本国内においても欧米のようにフードバンクを“食料安全保障のインフラ”として位置づけていくには、長期的かつ安定的な活動を支えるための基金の創設が必要であることも提言しました。
2. フードバンクへの食品寄附に対する税制優遇の拡充
日本国内において、食品寄附が進まない大きな理由の一つは、現行の税制では企業にとって食品寄附が経済的合理性を持たないという点です。食品を寄附すればするほど物流コストが増加し、企業の負担が拡大してしまいます。
一方アメリカでは、一般的な寄附控除とは別に「食品寄附に特化した拡大控除(食品価値の最大2倍を上限)」が認められ、企業は寄附をするほど損をせず、むしろ経済的メリットが生まれる制度設計になっています。そのため、食品を廃棄するより寄附した方が企業にとって合理的で有利となり、寄附が大きく促進されています。
日本でも、企業が食品を寄附すればするほど利益的になるような食品寄附に特化した税制優遇制度の創設・拡充が不可欠です。
寄附が社会貢献に加え経済合理性のある行動として位置づけることができれば、企業は継続的かつ積極的に寄附しやすくなり、日本全体としても、食品寄附が飛躍的に増加すると考えられます。
弊会からは、こうした税制優遇制度の拡充の必要性について提言いたしました。

