
勝楽寺に入職=アーユスを知る
Q:勝楽寺にはいつ頃どういう経緯で入られたのですか。
A:2012年からです。先代(故 茂田眞澄前理事長のこと)と初めて会ったのは2009年ですが、僧侶の資格取得に向けた準備を進める中で2012年に勝楽寺に入職しました。
先代を知ってアーユスのことも知りました。ただし入職当初は僧侶資格を取ることを優先していたので、活動には参加していませんでした。
勝楽寺で働きはじめてから、仕事が終わったあとにNGOの勉強会などに出るようになりました。参加していましたが、アーユスを知る前は、フェアトレードという言葉も知りませんでしたね。
Q:西川さんはアーユスの会員ですが、他のNGOにも関わられていますよね。
A:いま一番時間を割いているのは、日本の在留資格を取ろうとしている方のサポートです。NGOに参加してサポートをしているというより、横並びの関係、友人として支えています。来日して20年以上で日本の方と結婚されお子さんもいらっしゃるのですが、離婚されたために滞在資格が不安定な方です。母国では宗教的にマイノリティであるため、帰国するのが怖いという問題があります。
Q:そのNGOの活動にも関わっておられますか。
A:アーユスを通じて知った団体ですが、今は当事者の方と直接の関係が中心です。ほかには難民支援などのNGOの会員をしていたり、あとは仏教系NGOのスタッフとも親しくしています。
Q:難民のことにご関心があるのでしょうか。
A:たまたま難民関係に関わっていますが、今サポートしている方の問題が解決したら変わるかもしれません。NGOの必要ない世界を目指すのがNGOと言いますが、現実はそうならない。目の前に飛び込んでくる問題がある限りは、何かするんでしょうね。
茂田初代理事長の想い
Q:そうした姿勢を学んだ先達は、やはり茂田さんでしょうか。創設の思いについてはよく聞きましたか。
A:自身の根幹にあることなので、繰り返し語っていましたね。
「NGOの取り組んでいることは簡単な問題じゃないので、解決には時間がかかる」と。
先代は、浄土宗のなかで活動を始めましたが、関わりに期限があったりと継続した事業ができなくて残念に思ったことからアーユスを設立したと言っていました。
Q:茂田さんと一緒に過ごしたなかで、印象に残っているのはどのようなことですか。
A:アーユスにいると、この業界に入ったばかりのスタッフが思い悩んでいる場面に出会うことは多くて、その時には自分が経験したことや生きる知恵を語っていましたね。先代が青年僧のころ、集めた募金をカンボジアに持っていった時に「自分はこれでいいのだろうか」と思い悩んだ経験があり、新人スタッフにもその頃を思い出しながら話を聞いていたのかもしれません。
Q:西川さんはNGOスタッフとも仲良しという印象があります。
A:アーユスをきっかけに会うようになった方はいっぱいいます。先代が出会ってきたような、日々の業務で精一杯の方もいますが、私は私なりのやり方で、コロナ前はよく皆でご飯を食べたりお酒を飲む機会を持ったりしていました。分野は違っても同じ業界の人同士で話ができたら、自分だけじゃないと思えるというか。
今は中堅のスタッフになっているかな、みなさん頑張っています。でも、NGOではない違う場所であっても、健康で頑張っていれば私も嬉しいです。
Q:茂田さんの背中に倣っているのですね。
A:私はお寺のことをやりながらできる範囲でやっていますが、先代はNGOの人には勉強させてもらうと言っていたし、元気をもらっていたんでしょうね。応援することが大好きなんですよ、応援することが誰かの幸せにつながるという感覚があったんでしょう。

先代が1989年に初めてカンボジアに行った際に訪れた村を、浄土宗の仲間たちと訪問。西川さんも3回目のカンボジア訪問で初めて、このコンポンクダイの農村を訪れた。村に住む女性が「今が一番、幸せ」と話していると聞き、先代が一番聞きたがっていた「生きてて良かった」に繋がる、と感じたという。
「人権」「経済」「構造」が自分のなかのキーワード
Q:西川さんが、今後特に応援したいと思うものはなんですか。
A:先ほども言ったようにテーマは決めていません。ただ、「人権」「経済」「構造」この3つに繋がるものに着目しているというか、どんな問題もこれらに行きつく気がしています。これは、たくさんのNGOの勉強会に参加するなかで、自分なりに行きついたキーワードです。
Q:そういう話ができるお坊さんの仲間もいますか。
A:いっぱいいますよ。カンボジアにはこれまで3回行ったんですが、一緒に行ったメンバーとは話します。2013年に一緒に行ったメンバーに「これで終わったらもったいないよね」と言われたことはとても印象深くて、今でも憶えています。
Q:仏教者の仲間にアーユスの活動を紹介し、参加してもらうには、どうしたらよいですか。
A:問題の本質をきちんとしゃべりますね。特にお寺は、税制面で優遇されているので、そのぶん社会的に貢献した方がいいと思っています。
Q:お寺のお檀家さんもアーユスに会員や支援者として参加してくださっていますが、本質をきちんとしゃべると難しい話にならないでしょうか。
A:「帰る家がある」「待っている家族がいる」「仕事がある」ということのありがたさに感謝しつつ、でもそれが叶わない人もいる、というようなアプローチをすることはあります。先代には及びませんが、私なりのアプローチでやっているので、先代が今の自分を見たら「それでいい」と言ってくれていると思っています。
どんな人にもある「気づき」。それを忘れず大切にしてほしい
Q:最後に、新人賞受賞者に伝えたいことをお願いします。
A:活動をしていると日々何らかの「気づき」があり、それが自分の行動の動機になると思います。忙しくて疲れると、気づきに向き合えなくなることもありますが、気づきをいつまでも忘れずに大切にして欲しいです。
僕はもともとお寺と縁のない家庭に生まれました。それでお坊さんになったのですが、お坊さんも一般人であることには変わりません。NGOに携わっていようが、そうでない人も横並び。頑張っている人は素晴らしい、何が自分にできるかを考えこれからも実行していこうと思う。
Q:頑張れない人もいますよね。そういう方の背中も押してあげたいです。
A:そうですね。まずは飯を食うかな。そして話を聞く。話すと整理できますよね。NGOは素晴らしい活動をされている一方で、目の前の業務に追われることもあると思います。そんなとき、息抜きしてもらったり、背中を押してあげられたらと思っています。
NGOの人には一人で悩まずアーユスを頼ってほしいし、アーユスも頼られる存在であって欲しいです。
Q:では今度、西川さん主催の食事会を開催してください!今日はありがとうございました。
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