福島第一原発事故から14年が経過し、あの日に始まったできごとが風化し始めています。また、当時のことを知らない世代も増えています。
原子力市民委員会(CCNE)は2013年に発足以来、原発のない社会をめざして政策提言をおこなうシンクタンクとして、『原発ゼロ社会への道』シリーズなど、多くの情報を発信してきました。
しかし、原発問題では「わかりやすく伝える」ことがいつも課題でした。
原発やエネルギーの問題に関心がある人には、重要な情報を届けることができたかもしれません。でも、原発の問題に距離を置いてしまう人や、当時のことを知らない世代にまで、十分に伝わるような発信はできてきませんでした。
福島原発事故の風化が進み、政府は「原発を最大限活用」していく方針へと舵をきりました。その結果、地震で被災した原発や、老朽化した原発が各地で動き始めています。
今あらためて、福島原発事故とは何だったのか、そして原発のない社会が実現可能であることについて、多くの人が考えるきっかけとなる「わかりやすい情報の拠点づくり」にチャレンジしたいと考えています。
2025-07-05 10:13
内田聖子さんから応援メッセージをいただきました。
アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表の内田聖子さんから、応援メッセージをいただきました。原子力市民委員会が発足間もない頃、福島原発事故部会を開催する際は、よくPARCの会議室をお借りしていました。アジア、そして、グローバルな課題に目を向けながら、そこから映し出される日本社会の問題を的確にとらえるPARCの視座は、多極化していく世界の中での日本のあり方を考えるうえで不可欠です。民主主義の危機を乗り越えるための情報発信、ともにがんばります。
「情報は民主主義の通貨」と言われます。
SNSを中心に偽情報やデマが蔓延し「民主主義の危機」が懸念される中、誰もが正確な情報を得ることは、私たちの意思決定や社会参加に不可欠であり、また権力者の行動監視や、不正や不祥事のチェックの役割としても重要です。
その意味でも、今回の福島原発事故そして原発のない社会に関する「わかりやすい情報の拠点づくり」プロジェクトは大きな意義を持ちます。

長年、市民の目線で調査し、政策や世論・人々の行動を変えるための実践を行ってきた原子力市民委員会には、すでに世界・日本の原発に関する膨大な知見や情報が蓄積されています。
特に、原発についての新たな動きとしてAIデータセンターの電力供給のために原発再稼働を進めようとする傾向が加速しています。2024年、マイクロソフトとの契約によって、米国スリーマイル島原子力発電所が再稼働に踏み出すことが決定しました。
このような課題も含め、多様な情報を吟味し、市民科学の原則に立った情報提供をする役割として、私もこのプロジェクトにとても期待しています。ぜひ多くの方からのご支援をお願いいたします。