東京電力福島第一原発事故から14年が経過し、あの日に始まったできごとが風化し始めています。また、当時のことを知らない世代も増えています。
原子力市民委員会(CCNE)は2013年に発足以来、原発のない社会をめざして政策提言をおこなうシンクタンクとして、『原発ゼロ社会への道』シリーズなど、多くの情報を発信してきました。
しかし、原発問題では「わかりやすく伝える」ことがいつも課題でした。
原発やエネルギーの問題に関心がある人には、重要な情報を届けることができたかもしれません。でも、原発の問題に距離を置いてしまう人や、当時のことを知らない世代にまで、十分に伝わるような発信はできてきませんでした。
福島原発事故の風化が進み、政府は「原発を最大限活用」していく方針へと舵をきりました。その結果、地震で被災した原発や、老朽化した原発が各地で動き始めています。
今あらためて、福島原発事故とは何だったのか、そして原発のない社会が実現可能であることについて、多くの人が考えるきっかけとなる「わかりやすい情報の拠点づくり」にチャレンジしたいと考えています。
2025-08-09 18:47
【残り2週間を切りました!】 委員の後藤忍さんからのメッセージです
委員の福島大学の後藤忍さんは、福島原発事故後、放射線副読本研究会を立ち上げ、文部科学省が放射線教育にもちいる「副読本」の内容の問題や教訓の伝承のあり方などを市民にわかりやすく説いてこられました。今はCCNEの福島原発事故部会(第一部会)の部会長として、議論をリードいただいています。
今回の第3目標である「「放射能による健康リスク」を科学的に思考するためのコンテンツ・冊子の作成」は、第1部会の取り組み課題です。ぜひ応援をよろしくお願いいたします!
福島第一原発事故における大きな教訓の一つは、日本の国策として進められてきた原子力の教育や広報において、原子力推進側に偏った情報提供が行われてきたことです。
いわゆる「原発の安全神話」も、これによってつくられてきました。偏重した教育・広報によって、原子力発電の環境リスク等に関する国民の公正な判断力が低下させられてきたさまは、“減思力(げんしりょく)”とも呼ばれます。

福島第一原発事故の教訓から学び、“減思力”を防ぐためには、対抗し得る確かな情報を市民の側から発信し続けることが求められます。効果的な情報発信を目指す原子力市民委員会の取り組みに対しまして、皆さまからご支援を賜ることができれば幸いです。
【写真は吉田千亜さん撮影】