パルシック
認定NPO法人

シリア難民の子どもたちに暖かい冬を。シリアに戻れない子どもたちが通う学校に、灯油を届けたい

支援総額
597,000
85%
目標金額 700,000
サポーター
78
残り
60
2026年02月10日 18時00分 まで
シリアでは2024年12月にアサド政権が崩壊し、14年近くにわたる内戦が終わりました。復興への歩みが始まったものの、家や病院、水道や電気などのインフラが破壊され、帰還を望む人びとの生活再建は前途多難な状況です。生活の目途が立たない、治安が不安定な地域もあるなどの理由から、すぐに故郷へ戻れず今もレバノンで暮らす家族や子どもたちがたくさんいます。 帰還が難しい人びとが多く残るベカー高原の町、ザハレ郡バール・エリアス市では、シリア難民やパレスチナ難民、経済的に困窮するレバノン人の子どもたちが共に学んでいます。山岳地帯にあり標高1,000メートル近いこの地の冬は厳しく、氷点下まで冷え込みます。家庭で暖房用の灯油を確保することが難しいなか、暖かい教室で過ごす時間が子どもたちにとって何よりの楽しみで、学ぶことは子どもたちの将来の可能性を広げることにもつながります。 パルシックはこの冬、バール・エリアス市のアマン校で子どもたちが安心して学び続けられるよう、学校に暖房用の灯油を届けます。どうか、あたたかいご支援をお願いいたします。
2025-12-11 16:59
難民となった人びとの苦境──レバノン政府とシリア政府のスタンス
レバノンでのシリア難民の扱いは、この10年で大きく変わってきました。はじめは“一時的な訪問者”として扱われていた人びとも、2015年以降の居住規制により多くが不法滞在扱いとなり、経済危機のなかで反難民の姿勢も強まりました。今は帰還を促す動きが進む一方で、レバノンにとどまることもシリアに戻ることも難しい、厳しい選択を迫られる状況が続いています。

こんにちは。パルシックレバノン事務所のアンソニーです。

皆さまからの温かいご支援のおかげで、目標の84%を達成しました。お寄せいただいているメッセージにも励まされ、心新たに目標に向かっています。

レバノンにおけるシリア難民危機の影響と現状についてはこれまでもお伝えしてきました。今回は、危機の経緯と、この問題に対するレバノン政府とシリア政府の現在のスタンスについて整理してお伝えしたいと思います。

2011年から2014年にかけて、レバノン政府は危機以前に実施していた国境開放政策を継続し、シリアの人びとは難民ではなく一時的な「訪問者」として扱われていました。パレスチナ難民危機でパレスチナ難民が長期定住した過去の経験から、レバノン政府は「難民キャンプ禁止(No Camp)」という方針を取り続けていました。

その後、レバノンで暮らすシリアの人びとは、法的手段による締め付けの時代を迎えます。2015年に居住規制が導入され、その結果、2016年までに約80%が不法滞在者という扱いとなりました。

シリア難民キャンプ

2019年の経済危機後、レバノン政府はシリア難民を責任の転嫁先として利用し、反難民の姿勢をエスカレートさせました。政府の措置には、コンクリートなどでできた居住シェルターの破壊や強制送還を容認する内容が含まれていました。

そして、2024年12月のアサド政権崩壊を受け、現在のフェーズに入ります。レバノン政府とシリア政府の現在のスタンスは、両政府間の正常化とさまざまなインセンティブを通じて難民の帰還を促すというものです。これには、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)との連携による自発的帰還プログラムや、インセンティブとして、出国手数料・滞在超過罰金・再入国禁止措置の免除、さらに交通費として100ドルが支給などのインセンティブが含まれます。

現在、推定50万人のシリアの人びとがレバノンからシリアに戻っているとされていますが、これはスンニ派の人びとに限られています。アサド政権と結びついていたアラウィー派やシーア派の人びとは報復や暴力を恐れてシリアからレバノンへ逃れ、19万人近い新たな難民がレバノンに流れ込んでいるとみられています。

アサド政権崩壊後も、シリアの経済・社会情勢は不安定なままです。多くのシリアの村では治安は不安定で、地方の道路では誘拐や軽犯罪がより頻繁に発生しています。シリアの人びとは、受け入れを拒否するレバノンか、不確実な生活が待つシリアへの帰還かの選択を迫られ続けている状況です。

シリアの人口の90%は極度の貧困状態に置かれ、不発弾が各地に残り、イスラエルによる絶え間ない空襲の脅威が続くなか、再建には2,160億米ドルという途方もない額が必要とされています。この危機は簡単には解決されず、長期化すると見込まれています。

イスラエルによる爆撃から避難するレバノンの人びと(2024年秋)。今もなおレバノン南部でもイスラエルからの攻撃が続いている
イスラエルからの攻撃により破壊された学校の前にたつシリア難民の子どもたち(レバノン南部)
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