社会課題を解決するための新しいモデル
私たち【フレンド恵学園】は社会課題の解決に挑む非営利団体として、新しいモデルを創造、提案し、世界に貢献することを目指します。このモデルは「自然と人間を愛する共育」の学園理念を柱に3つの要素から成り立っています。
自然と人間を愛する共育
- 自然
- 学び
- 経営
【自然】
「自然欠乏症候群」。自然から離れれば離れるほど、人間のwell-beingは損なわれるということを意味する言葉です。特に、こども達にとって自然との触れ合いが心身の成長に大きな影響を与えることは多くの研究からも明らかです。こども達には、自然の中で存分に遊び、自然から学んでほしい。自然は、こども達にとって《偉大な師》になる存在です。
都市に人口が集中する現象が世界中で起きていますが、同時に「自然回帰」と思われる現象も起きています。より多くの人々が、自然と切り離された都市から自然豊かな地方へと移り始めています。「短期留学制度」を利用して、私たちが運営する「森のようちえん」や「森のがっこう」に(1~3週間)通ってくるこども達は年々増えていますが、そのほとんどが国内外の都市部に住むこども達です。今年は50組以上の家族が、交通アクセスが不便な浦河町を訪れ、参加してくれました。多くの親が我が子に「自然豊かな環境でのびのびと遊ぶ体験をさせたい」と思っているということが分かります。
留学生の受け入れは、地域の活性化に貢献しています。ひとつは、各家族が数週間滞在することにより地域経済が潤います。また、留学生とその家族は、観光が目的の滞在とは違い、地域の人々と関係をもち、浦河という町に《ふるさと》に似た感情をもつことが多くなります。つまり、「関係人口」が増えます。浦河町と都市間の2拠点生活や移住を検討する家族も出てきています。
日本では、ほとんどの森が放置され《人が入らない森》になりましたが、「森のようちえん」や「森のがっこう」が所有する森では、大きな変化が起きています。こども達が日常的に森で遊ぶようになったことから、地域の人々が森に関心を寄せるようになりました。そして、一度森の素晴らしさを体験した人々が、森の再生につながる活動にも積極的に参加するようになっています。こども達には大人を引き寄せる力がある。こども達がいるから大人も森に入り、ともに森をより豊かにするために汗を流す。森が健康であることは、地球上に住むすべての生き物にとって大切なことですが、こどもの遊びや学びの活動をそのまま、自然保護につなげることができると感じています。
【学び】
私たちは、「こども達が何を学ぶか」ということよりも「こども達は幸せか」を大切にしています。《こども達の幸せ》を最優先したい。こどもが「幸せ」(well-being)であれば、私たちはいつでも安心して「学び」についての会話を始められると思うのです。
では、「学び」の目的は何か。私たちの学園では、学びの目的は《自分の幸せと他者の幸せを実現すること》だと考えます。他者と競争することや比較すること、評価することを目的とした学びではありません。他者と共に助け合って生きること、お互いを理解すること、自分の知的好奇心を満たすことを目的とした学びです。
すべてのこども達は生まれた時から《みずから学ぶ力、意欲》を持っています。私たちが行う教育は、一人ひとりの主体性を尊重した《教師なしの学び》です。よって、大人は「教える人」ではなく、こどもを「サポートする人」であり、大人とこどもの関係は上下関係でなく、ヨコの関係で成り立ちます。
2024年【フレンド森のがっこう】は東京大学との共同研究を始めました。《新しい時代の新しい教育》をともに探求する取り組みです。その中で、こども達は、東京大学の森下氏が開発した「Open Learning Unit」と呼ばれる、地域資源や環境を活かしたアート的・身体的な学びのプロセスを楽しんでいます。そして、私たちは、この取り組みを世界中のこども達が無償で自由に活用できるものにしていくことを目標にしています。
【経営】
「人々との共感」をもとにした持続可能な経営を確立したいと考えています。現在、ネームバリューのある海外の大学でさえ、資金繰りの悪化が原因で経営破綻する事態が起きています。国内でも、閉校に追い込まれる法人が、今後さらに増えていくことは確実です。少子化の問題を含め、どのような社会状況の変化が起きても、質の高い教育を提供していくためには、強い経営基盤をもつことが求められます。
【浦河フレンド森のようちえん】と【こどもの森 うらここ】の運営費は大半が補助金で成り立っています。ただし、その補助金も十分ではありません。また、【フレンド森のがっこう】は補助金支給の対象ではないため、すべて自己資金で運営されています。
教育は本来、利益を最優先に行われるものではないため、教育機関に対して国から補助が出るのが一般的です。一方、質の高い教育を提供するためには、高いコストがかかることも事実です。日本でも、海外でも、質の高い教育を受けたいと思えば、高い学費を払うという現象が起きています。そして、それが教育格差を生んでいます。しかし、国全体、世界全体を考えたとき、一部のこども達だけが質の高い自由な教育を受けられるという状況は望ましくありません。
私たちの願いは、質の高い、自由な学びの場を《希望するすべてのこども達に》提供することです。家庭の収入などに関わらず、誰もがアクセスできる教育を提供したい。そのためには、補助金だけに依存する経営を避け、どんな社会の変化にも耐えうる経営基盤をつくる必要があります。つまり、共感してくれる仲間を広く社会から集める必要があります。寄付などを通して応援してくれる仲間たちの力があれば、私たちの活動は持続可能なものになり、また、社会に大きなインパクトを残せるものになる。そして、更にそれが、《すべてのこども達が幸せな社会》の実現につながっていくはずです。
Together we create. 創造する。ともに。
あなたの共感と支援が、この取り組みをさらに広げ、次世代への希望となります。この小さな町から始まる物語を、一緒に紡いでいきませんか?