なぜソーシャル・エンゲージメントを高めることが重要なのか
従業員がボランティアに参加することで生まれる様々な良い効果が調査や研究を通してわかっています。この記事では、ボランティアを通してどのような効果を得ることができるのか、また従業員のボランティア以外の社会参加を通してエンゲージメントを高められる選択肢について解説します。
ボランティア活動によって得られる様々な効果
一部の企業では、ボランティア休暇制度を設けるなど、従業員がボランティア活動に参加しやすい環境を整えています。なぜ、ボランティア活動が推奨されるのか、以下の効果があるためだと考えられています。
- ソーシャル・エンゲージメントの向上
- 会社への帰属意識の向上
- スキルの向上
本記事で参照した研究(後述する引用元URL参照)では、ソーシャルエンゲージメントのスコアが高い人ほど、仕事でも良いパフォーマンスを発揮するという結果が出ています。このソーシャルエンゲージメントは、ボランティア活動によって向上させる事が可能です。
なぜソーシャルエンゲージメントの高い人はパフォーマンスも高いのか
パーソル総合研究所・ベネッセ教育総合研究所・中原淳の調査結果によると、ソーシャルエンゲージメントの数値が高い人は、積極的に自身のスキルを向上させることや、新しい知識を身につけることに貪欲です。また、社内外ボランティアへの参加や社会課題について学ぶことで、物事を俯瞰して考える経験を得ることも同調査によって分かっています。
こうした経験を通したソーシャルエンゲージメントの向上は、従業員のパフォーマンスの向上にも繋がるため、社内外でのボランティア参加を推奨する企業が増えています。
ボランティア活動は社員のウェルビーイングを向上させる
米ユナイテッドヘルス・グループの調査では、ボランティアへの参加によって「気分が良くなった」と回答した人の割合は94%であり、「健康になった」と回答した人の割合は76%に上りました
会社への帰属意識、スキルも向上
ボランティア活動に参加した従業員は、参加しなかった従業員と比較し、企業文化への共感を得ることができ会社への帰属意識が高まりもみられました(Deloitte US, 2011)。
NPO法⼈サービスグラントの報告では、自身の専門性や仕事に活かせるスキルを磨くことができたと回答した割合が60%に上ります。このことから社外ボランティア活動への参加は、従業員の会社に対するエンゲージメントや、スキルの向上にとってプラスの効果があります。
ボランティア活動は従業員のソーシャルエンゲージメントおよび業務におけるスキルの向上のために良い効果があります。しかし、ボランティアの制度を導入のみでは従業員の多数の参加が見込まれるとは限りません。
なぜなら、1986年、2016年の内閣府による「社会意識に関する世論調査」および同年の総務省統計局による「社会生活基本調査」を元にしたリクルートワークス研究所中村天江のコラムでは、日本人のボランティア活動への意欲は、1986年から2016年の30年間で18ポイント上昇しているが、実際にボランティア活動を行った人の割合は0.8ポイントの微増に止まっていることが指摘されています。
ボランティア活動や社会活動への参加の意欲は高まっている一方で、実際に活動ができている人は少ない現状があります。
個人の社会貢献活動
※上段は1986年、2016年の内閣府による「社会意識に関する世論調査」、
下段は同年の総務省統計局による「社会生活基本調査」を元にした
リクルートワークス研究所中村天江のコラム上記載の表を元に作成。
ボランティア活動ができない一番の原因は「時間的制約」
ボランティアへの参加ができない理由として、内閣府「平成28年度市民の社会貢献に関する実態調査」によると、一番に「時間的制約」が挙げられます。これはとくに会社勤めの人に顕著に見られた回答です。会社のボランティア制度の導入や短時間で協力できるボランティア受け入れ団体との連携が重要視されています。
ボランティア活動で、受入側とすれ違いが発生することも
受け入れ団体と参加者の間ですれ違いが発生し、双方にとってマイナスの結果を生んでしまうこともあります。
実際にボランティアに参加をすると、聞いていた仕事と任される業務が異なったり、与えられる仕事が期待通りではなかった事例もあります。
ボランティアのマッチングにおいて重要なこと
従業員にボランティアを紹介する際は、活動場所との距離や、活動時間、業務内容を考慮しましょう。
遠方に丸一日赴くボランティアだけではなく、会社や自宅の近くで参加できるもの、短時間でも受け入れ可能な団体も探すことが重要です。任せてもらえる業務についても綿密にすり合わせすることをおすすめします。
ボランティアが難しい場合、寄付という選択も
社内外のボランティア参加による従業員のソーシャル・エンゲージメントやスキルの向上が期待できる一方で、働き方の多様化等で参加が難しいケースもあります。
従業員自身の寄付によりソーシャルエンゲージメントが向上した事例もあり、ボランティアに限らず社会貢献活動を行うことが従業員にとって良い効果があります。Elizabeth Dunn達の研究を元にした竹部成崇の報告では、複数の国で「他者のためにお金を使う」行為が個人の幸福度を向上させたことに言及しています。
寄付であれば、ボランティアに参加しにくい従業員であっても、気軽にソーシャル・エンゲージメントを高めることができます。
ボランティア、寄付制度のコーディネートはコングラントへ
ボランティア活動によるソーシャルエンゲージメントの向上について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
コングラントでは、2,650以上の豊富な国内NPO団体とのネットワークを用いた、企業寄付やボランティア活動のコーディネートを行っています。IR対策や従業員のエンゲージメント向上など、様々な目的に応じた企画の設計を承っております。
お困りごとやご不明点はコングラント法人事業部までお気軽にお問い合わせください。