寄付DXシステムのコングラント、サービス開始から7周年を迎えました
NPO元年と言われる1995年から、あと少しで25年が経とうとしています。
その間にインターネットは大きく発展し、NPO活動の理念や内容を簡単に発信できるようになりました。
そんな今、インターネット上で広報をしているが「魅力的な活動紹介が書けない、、、」という悩みをお持ちではないですか?
今回のコラムでは、より想いが伝わり行動につながる文章の基礎テクニックを3つ紹介します。
この3つのテクニックは、「読み手に印象を残す」という観点から選んだものです。
文章を変えるだけで、寄付額や支援者数の増加が見込めるかもしれません。
▽ 目次
上記の3つを紹介します。
人間が一息で話せる時間は「5秒」と言われています。わかりやすい例でいうと、「ありがとうございます」を5回言うのと同じです。
なぜ文章の話で呼吸を意識するのか?
それは、人は文字を「読む」時に、無意識に頭の中で「話し」ているからです。
この文章を読んでいるまさに今、無意識に頭の中で声を出していませんか?
このことから、文章を書く場合でも一息を意識することが重要です。
では、一息と言うのは何文字に相当するのか?先ほど例に出した「ありがとうございます」から考えると、ひらがなで50文字程度。そこに漢字を混ぜるとなると、1文を40文字程度の長さに抑えることで読みやすい文章となります。
読みやすい文章というものは情景の想像がしやすく、印象に残ります。
この文章はほぼ全ての文が一息で読める長さですね。
少し長い文も読点を適切に用いることで読みやすく、子どもたちの状況や団体の想いもイメージしやすくなります。 この文章の良い点はもう一つあります。
少し長い文と短い文を混ぜることで読む際のリズム感を生み出し、単調さを消している点です。そうすることで、短い一文に込めたメッセージの強調も可能です。
文章の長さに関して良い例を二つ紹介します。
まずは、「認定NPO法人かものはしプロジェクト」の一節から。ぜひ一文の長さを意識して読んでみてください。
世界には、だまされて売春宿に売られ、無理やり働かされてしまう子どもたちがいます。
子どもたちは、暴力や恐怖で支配され、逃げることもできません。
「どんな子どもも、売られるなんてことがあってはいけない」
「そんな子どもたちを守りたい」
かものはしは、そんな想いで、この問題に真正面から取り組んでいます。
次は、「NPOカタリバ」のホームページにある文章を紹介します。
私たちは、信じています。
繊細で多感な思春期に、
多様な人と出会い・語り・悩み・学ぶこと。
「こんな風になりたい」という憧れを見つけること。
そのすべてが、未来をつくりだす意欲と創造性になることを。
しかし、社会の分断と格差が進み、
生まれ育った環境や受けた教育によって、
「きっかけ格差」が広がっています。
たくさんのものを失った被災地の子も、
貧しい家庭環境の中で夢を諦めた子も、
日々ただボンヤリと過ごす子も。
どんな環境に生まれ育っても、
未来をつくりだす意欲と創造性を育めるように。
NPOカタリバは2001年から、
学校に多様な出会いと学びの機会を届け、
社会に10代の居場所と出番をつくるための活動に
取り組んでいます。
こちらの文章も一文の長さが適切なだけでなく、読む際のリズムも優れています。
対象の羅列を用い、始めの「信じています」に合わせ適切に動詞を省くことで良いリズムが生まれています。
また、「信じています」の目的語に意識が集中し、文章の内容がより頭に入ってきます。
人を動かすには、情景を想像させるのが良いといいます。
情景をイメージさせることにうってつけなのが、具体例です。
商品を買う際、レビューや口コミという利用者の声を聞いて、良い商品だと確信を持ってから購入するという形をとっている方が多いと思います。ここでいう利用者の声というのは、具体例の役割を果たしています。
人々に寄付をお願いする際でも具体例、すなわち、活動に関わっている人の生の声や活動による変化のエピソードが重要です。
あわじ寺子屋で活動していると、学校からはこんな状況が聞こえてきます。
「朝食をとらずに来る子どもが多い」「宿題をしてこない子どもが多い」
「遅刻が多い」「学校に来ない子ども、不登校がちな子どもが増加している」
また、保護者の声も寄せられています。「宿題を見てやりたくても、私自身が学校行ってへんかったから、お手上げなんです」
「夜勤をして、二つの仕事をしているので、子どもと関わる時間が取れずどうしているか心配です」
「"宿題したんか?"で、毎晩親子喧嘩するのはほんまに疲れます。」
子どもたちは、こんなことをこぼしていきます。「学校の勉強がちっともわからん。分らんとこから教えて欲しい。そんな場所がほしい。」
「おとうが酒を飲んで暴れ、夫婦喧嘩が始まる。家にいるのは嫌や。でも、行くとこがない。」
「家族が複雑で、なんでこんな家に生まれてきたのかと思う。
朝ご飯なんか食べたことない。まともなご飯は給食だけ。」
「自殺を考えたこともある。今はとにかく疲れてる・・・」
これらは、今あわじ寺子屋に関わっている子ども達、保護者の方々の生の声です。
このページでは、学校・保護者・子どもたちの声やあわじ寺子屋による子どもたちの変化のエピソードを数多く掲載しています。
学校や保護者、子どもたちの悩みを「悩んでいる」のみで表現するのではなく、どんな状況で悩んでいるのかを具体的に表しています。具体的な表現というのは、読み手にとってより身近なものに感じられます。抽象的な表現と具体的な表現を組みわせることで、大きく心を動かすことができるのです。
情景を想像させるには、インパクトのある言葉や数字が有効です。
例えば、「日本人の半数が癌になる」よりも「日本人の2人に1人が癌になる」の方が焦りを感じませんか。
このように言葉の選び方次第でインパクトは大きくなり、聞いた人の行動を促す力も持ちます。
インパクトのある数字を利用した例を紹介します。
「認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会」のホームページに書かれた一文です。
まず、「一日にたくさんの子どもたちが命を落とす」と伝えるよりも「一日に〜人の子どもたちが命を落とす」と数字を使うことでインパクトが強くなります。
しかし、上記の例のように単位を一日から秒に変えることで、さらにインパクトが強まり、子どもが命を落としているという状況に対する感情を大きく動かします。
この一文で読み手の意識は引き込まれ、この団体がどんな活動をしているのか、どんな支援方法があるのか、知りたくなるでしょう。
次に、言葉選びの例として「特定非営利活動法人 クレイシュ」のコンセプトを紹介します。
このコンセプトは、助詞と動詞を少しだけ変えることでインパクトをとても強めた良い例です。
ここで「が変わる」にインパクトを感じるのは、人々が持つ感覚と異なる切り口であるからです。
NPO団体は「社会を変える」ことを目的に活動している、というのが一般的な感覚だと思います。
そこを「社会が変わる」という言葉を用いることで、読み手は「なぜこの言葉を使うのか」と疑問に思い、強い印象を持ちます。
こういった工夫が活動内容を深く読んでもらうきっかけとなります。
今回のコラムで紹介した3つのテクニックは、ホームページやSNS、ファンドレイジングページだけでなく、スピーチや対話の場面でも活用可能です。
どれも読み手・聞き手が情景を想像しやすく印象に残るというものです。
情景が想像できることで人が動くと言っても過言ではありません。
今一度、団体の紹介文やファンドレイジングページの文章を見直してみてはいかがでしょうか?
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