寄付DXシステムのコングラント、サービス開始から7周年を迎えました

導入事例
「やらないよりやった方が何かは生まれる」|市民活動さぽーとねっと

特定非営利活動法人市民活動さぽーとねっと様は、団体設立から17年間、山口県防府市を拠点に活動する、社会の課題解決に取り組む人や団体を応援してきました。

2021年からは、ひとり親家庭を対象にした、食料品や日用品を自由に受け取れる場所「コミュニティフリッジ(公共冷蔵庫)」を運営しています。

特定非営利活動法人市民活動さぽーとねっと様は、今回が、クラウドファンディングだけでなく、初めての寄付募集ということで、さまざまな課題を持ちつつも、それをどのような工夫で乗り越えてきたのか、担当の松浦様にお話をお聞きしました。


寄付を集めることで、より自由度の高い資金を確保する。

コングラント 山本(以下 山本):今回寄付を集めようと思ったきっかけを教えていただけますか。

松浦様:私たちはこれまで、市内のNPOやボランティア団体の活動を応援するという市民活動支援を中心とした事業を行ってきました。その中で、近年こども食堂を始めたいという相談が増え、その立ち上げや運営のサポートを実施してきました。1つ1つのこども食堂は少人数で運営されており、人材や食材の確保という共通の課題に対して、何かできないかと考えるようになりました。

その対策の1つとして、フードバンク活動に取り組み始めましたが、今度はコロナ禍でこども食堂が開設できなくなっていきました。経済的な困難を抱える家庭に食材を届けるためには新たな形が必要となり、直接食材を届ける方法として、コミュニティフリッジの運営が始まりました。

助成金は資金の使い道の制限が大きいため、より自由度の高い資金を集めるために、寄付集めに取り組むことに決めました。

▼コミュニティフリッジを利用して食品を持ち帰っている様子

地域の横の繋がりからコングラントを知る。

山本:今回、GIVING100でのクラウドファンディングに挑戦いただきましたが、コングラントやGIVING100についてはどのように知りましたか?

松浦様:普段お付き合いしている地域のいろんな団体からコングラントやGIVING100についての情報を共有してもらいました。

目標金額を達成すると手数料がかからない、というところが一番の決め手でした。また、目標金額を達成しない場合でも、他社より手数料が低いため、安心して挑戦できました。

「お金をください」と言えない…。はじめてのクラウドファンディングでの課題。

山本:では、クラウドファンディングを実施してみて、課題に感じたことや難しかったことは何かありますか?

松浦様:法人としては20年ぐらい歴史があるのですが、自団体のために寄付を集める、ということをしたことがなかったんです。だからそういう意味では経験がとても浅いし、寄付を集めるために実際にどういう動きをするのか、という基盤が整っていませんでした。

市民活動支援を普段の仕事にしているので、ファンドレイジングについては日頃から私たちも研修を受けていて、知識としてはあるんですけど、実行したことがないことなんですよね。

だから、知識として頭の中にあるものを、実際に行動に移せるのかというハードルが最初はありました。

また、他の皆さんも思われると思うんですけど、「お金をください」と言えない、心理的ハードルがありましたね。自分たちに集められるわけがないっていう固定観念を最初に持ってしまっているんですね。

日頃の市民活動支援のお仕事の中で、そういった意識に向き合っていかなければ先へ進めない、と地域の団体さんに働きかけているはずなんですが、今回いざ自団体でやろうと思ったときに、その心理的なハードルが一番の課題だったと思います。

私はプロジェクトの主担当だから、覚悟して「やる」って言えるんですけど、理事や、他の職員に「寄付募集をやってくれ」と伝えてもなかなか行動に移してもらえず、最初はやりにくい雰囲気が結構ありました。難しかったのってやっぱりそこかなと思います。

活動への思いを共有、役割をタスクに落とし込んで実践。

山本:初めはお金を集めていいのか不安になったり、団体の中で方向性が一致しなかったり、というお悩みもよく聞きます。このような課題に対してどのような工夫をされましたか?

松浦様:クラウドファンディングを始める前の年から1年間かけて、資金を集めることに対する勉強会を、理事と職員合わせて3回ぐらい実施しました。

今までは委託事業が中心の団体だったので、自主事業として市民活動支援を行う団体が、社会課題に真っ向立ち向かうような活動をすることの意義や、防府という地域にコミュニティフリッジやフードバンクの機能は必要だ、という思いを大前提としてみんなが共有できるようにしました。そして、そのためには資金調達(寄付集め)が必要だ、と認識を一致させていきました。

他の団体ではどういうふうに資金調達をしているのか、というお話をオンラインで聞く会を理事と職員みんなで受ける、そういうプロセスを3回ぐらい入れましたね。

▼活動の必要性を伝える工夫はクラウドファンディングページにも。

山本:1回で皆さんの意識を、一気に変えることは結構難しいですよね。認識のすり合わせの機会を複数設けたというのはとても効果的だと思いました。

松浦様クラウドファンディングを実施するということは、日頃事業に関わってない理事にも役割ができるっていうことなんですよね。自分が持っている人脈とかネットワークの中で「こういう法人の理事やってるんだけど、クラウドファンディングを実施するんだよね」という情報を、まずは自分の範囲で拡散することを具体的なタスクへ落とし込んでお願いしました。

現場のスタッフにとっては、人に伝えるというのは当たり前にできることなんですが、普段現場にいない理事だと、ちょっとやっぱり第三者的なんですよね。「同じ方向に向かって一緒にやっていきたい」と私は思っていたので、理事に向けてそういう働きかけをしました。

しっかりやってくださいって言うだけではなくて、役割として、業務としてタスクに落とし込んで依頼するということをしましたね。

山本:タスクに落とし込むっていうところはすごく大事ですね。今度やっておきますと言っていても、実際やらずに終わってしまうということは多いですよね。

松浦様:そうですね。うちの法人としてはクラウドファンディングは1回目なので、最初から百パーセント全力投球できるとは思っていませんでした。最初は理事数名の中から1名でも行動に移してくれればいいなと思っていました。

ありがたいことに複数の理事が協力してくれて、団体内でも7割方が寄付募集に対して当事者意識を持ってくれたのかなと思っています。

山本:1回目のクラウドファンディングでこれだけしっかり戦略を立てて、周りを巻き込んでっていうところはなかなかできないことかなと思います。素晴らしいですね。


松浦様事前に学んでいたことが、かなり実践で生かされたと思います。

<参考>団体内部で思いを共有するコツ
[ファンドレイジング コツ100選]内部でクラウドファンディングが盛り上がる工夫をする

満場一致で応援してもらうことは難しい。だからこそ、信念を持って取り組む。

山本:次に、クラウドファンディング実施中に難しかったことや嬉しかったことなど、実施中の様子を教えてください。


松浦様:ネガティブな意見ももちろんありました。「コミュニティフリッジ、それって甘えですよね」とか「行政がやる仕事でしょ」とか。やはり、満場一致で全員に共感してもらうことは難しいと最初から割り切って、この事業に対する信念を持って、取り組み続けることを大事にしました。


クラウドファンディング期間中は、いつも調子がいいわけではなく、もちろん寄付が伸び悩む停滞期もありました。団体からの拡散のネットワークも限界に達した時に、不意に助けてくださる方が出てきたんですよ。普通は一回の寄付で終わるところを、寄付した上で周囲の方にプロジェクトについて、とても強く後押しをして、情報を広げる役割を担ってくださる方がいました。そういう方が出てくると、寄付もぐっと増えたりしました。それまでその方と私の接点ってほとんどないんですよ。それが何でこの人こんなにやってくれるんだろう、みたいな方が出てきたことが、驚きであり、本当に嬉しい出来事でした。


山本:そうだったんですね。そういった方がいらっしゃると、かなり寄付集めの後押しになるというか、最後に追い風のように押してくださった感じがしますね。協力していただける方に、どれだけ情報を届けられるかがかなり重要になってくるのかなと、お話を聞いて感じました。

▼クラウドファンディング目標達成時のFacebook投稿。SNSも情報拡散に活用。

プロジェクト成功から得た、事業継続への強い意志と寄付募集への自信。

山本:クラウドファンディングを経て、その後のプロジェクトの進捗や団体内の変化などありましたら教えてください。


松浦様:今後も2年、3年とコミュニティフリッジを続けていく安定した財源の基盤ができました。また、寄付を募ることで、今後も恒常的に事業をやっていく気持ちも醸成されたと思います。


今回クラウドファンディングを実行し成功したことで、ちゃんとお願いをして、ちゃんと情報を届けることが出来れば、支えてくれる人は一定数いるっていう実感がこのプロセスで体感できたんですよね。本来の業務の市民活動支援でも、寄付集めのスキルについて市の団体へ共有できる財産ができました。


今回得た成功体験を他の団体に共有したり、さらに団体で寄付を集めて財源を確保し、防府市の団体へ分配したり、と次のステップへつなげようと思っています。


また、団体内での変化としては、新規の寄付者とのつながりができたことや組織内での寄付に対する認識が変わったことがすごくよかったと思います。

地道な事務作業の効率化で寄付募集の負担を減らす。

山本:今回コングラントを利用してみてどうでしたか?


松浦様:メールで領収書を送れることがすごく助かりました。間違えないようにとても気をつかう作業が、ボタンひとつで簡単にできて楽になりました。


もちろん郵送希望の方もいらっしゃいますけど、領収書受け取り方法の選択もシステム内で完結できるので、事務作業がかなり減りました。

行動から、支援の輪は広がる。

山本:最後に、これからクラウドファンディングに取り組む人へぜひメッセージをお願いします。


松浦様「やらないよりやった方が何かは生まれる」と思います。もし、クラウドファンディングの目標を達成できなかったとしても、きっと協力してくれる人が1名でも増えているはずだと思います。


今回、私たちがもし目標金額を達成していなかったとしても、今まで寄付者として繋がっていなかった人が、寄付者として新たに数十名は繋がったので、そこを獲得できただけでも成果だと思います。それはクラウドファンディングをやらなかったら、なし得なかったことです。

▼担当の松浦様

おわりに

初めての寄付募集とは思えないほど、戦略的に周囲を巻き込んだプロジェクトの進め方をされていて、非常に学びの多いインタビューとなりました。また、そのような進め方の中にも、地道にコツコツと、今ある知識を一つ一つ実践し続けるパワフルさを感じました。

今回は貴重なお時間を頂戴し、誠にありがとうございました。
今後も影ながらにはなりますが、精一杯応援していきます!


<参考リンク>

コングラントで作成されたクラウドファンディングページは下記のリンクです。
活動に対する想いに溢れており、支援の必要性も非常にわかりやすく説明されています。ぜひご覧ください。
https://congrant.com/project/hofusaponet/5399

市民活動さぽーとねっと様のホームページは下記のリンクからご覧になれます。
https://hofu-saponet.sakura.ne.jp/


コングラントでは、ファンドレイジングの知識をわかりやすくまとめ、「寄付の集め方がわからない」を解決する、「ファンドレイジング コツ100選」を提供しています。

https://congrant.com/jp/fundraisingtips/index.html

インタビュー対象者:特定非営利活動法人市民活動さぽーとねっと 松浦和子さま
インタビュー・執筆・編集:大島・山本

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