助成金の申請書には、「この事業を実施することでどんな成果が期待できるか」を書くものが多くあります。助成団体としてはどういった成果が期待できるのかは当然重視しており、この点が明確に説明できていない申請は採択される可能性も低くなってしまうため、十分に検討したいところです。ここでは、成果を「受益者」と「団体」で整理する考え方をご紹介します。

• 1 事業によって、「受益者」「団体」がそれぞれどんな変化をするか分けて考える

事業によって期待される成果については、事務の効率化によるスタッフの負担軽減や財源の安定による組織基盤の強化といった、団体がどう変わるのか、というものと、受益者を取り巻く地域等も含めた、受益者がどう変わるのか、の大きく二つに分けることができます。

もちろん、スタッフの負担軽減や組織基盤の強化などが、ひいては受益者や地域の変化につながっていくと考えれば両方に当てはまる、というような場合もあると思いますが、「成果」とひとくくりにせずに、受益者と団体とで分けて考えることで、この事業としてどのような成果を生み出したいかが整理できます。

• 2 助成金の募集要項を確認し、目的に合致した助成金に申請する

助成金によっては「団体の組織基盤強化のための事業」というように、対象となる事業を明確にしているものもありますが、要項を十分に確認していなかったり、事業の実施により期待される成果についての考察が十分にできていなかったりすると、対象から外れた事業なのに一生懸命申請書類を準備して申請した結果不採択、といったことや、「助成金を受けるために事業を考える」といったことが起きてしまいます。

助成金の目的や対象となる事業などはしっかり要項で確認するとともに、事業がそれに合致しているかもしっかり確認しましょう。

障害のある方の作業所を運営する団体

作業所では、障害のある方たちがパンや焼き菓子などを製造・販売しているが、機器の老朽化や製造スペースが手狭になってきたことを受け、従来のものよりも性能のいい機器の設置と製造スペース拡張のために、助成金の申請を検討することにした。

申請にあたり、団体の担当者は、この取り組みによって期待される成果を団体と受益者それぞれで考えてみたところ、団体にとっては、

• ・性能のいい機器が設置できれば操作するスタッフの負担が減り、その分商品の販売に取り組む時間が増やせる
また受益者である障害のある方にとっては、
• ・製造スペース拡張により、より多くの障害のある方が製造に携われる
• ・生産量が増えることで障害のある方たちの工賃アップが見込める

といった整理ができた。そのうえで、こうした目的に合致する助成金を探し、申請を行った。