取り組む問題の構造を論理的に話せるようにする
こんな団体におすすめ
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団体が解決したい問題についての理解を広めたい
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団体の取り組みに関わってもらえる人を増やしたい
例えば、何かの社会問題の解決に取り組む団体があって、自団体への理解や支援がなかなか集まらないとき、「自分たちの努力が足りない」「自分たちの活動が知られていない」と考えて、活動の量や情報発信を増やそうと考えることはないでしょうか。
そんなときは活動や情報発信を増やす前に、自団体が解決したい問題の構造、つまりその問題はどういうメカニズムで発生しているのか、団体内で十分に理解できているかを確認することをおすすめします。
もしも周囲の人たちは、「そもそもこの取り組みで問題は本当に解決するのだろうか?」と疑問符がついているとすると、必要なのは活動や情報発信の量を増やすことではなく、この問題はどういう構造によって引き起こされていて、団体の取り組みはこの点にアプローチしている、といった説明かもしれません。団体のホームページや広報物を改めて見直し、こうした説明ができているか確認してみてください。
コツのステップ
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解決したい問題について、関係者間で「情報の不均衡」が生じていないか確認する
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「その問題は何によって引き起こされているか」と「解決のためのレバレッジポイント」を考える
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専門的な用語等をできるだけ使わずに説明をまとめる
「群盲象を評す」という言葉をご存じでしょうか。盲目の人たちがそれぞれ象を触り、鼻を触った人は「ヘビのようだ」、耳を触った人は「うちわのようだ」と言ってそれぞれが触ったところだけで捉えた結果意見がまとまらない、という例えです。
問題の構造について団体内の理解や、団体としての説明が十分でないときは、まさにこうした状態に陥っている可能性があります。
まずは問題に関連する情報が関係者間でしっかりと共有されているか確認しましょう。一部の人に情報が伝わっていなかったり、正確な情報ではなくいろいろな解釈が混ざった情報が共有されていたり、ということがないか確認することで、問題の構造を考える準備が整っていきます。
その上で考えてもらいたい問いは以下です。
①その問題は何によって引き起こされているのか?
②その問題が解決に向かうためのレバレッジポイント(てこのように、大きな力が働く要因)はどこか?
①は「なぜ?」の問いを重ねていくイメージですが、「●●が悪い」というように誰かを犯人扱いするのではなく、「●●がそういう行動を選択してしまうのはなぜか?(何が●●にそういう行動を選択させているのか?)」のように考えることがポイントです。
②はいきなり一つに絞ることは難しいかもしれませんが、レバレッジ(てこの原理)が働きそうなポイントの候補をいくつかに絞りましょう。団体の強みやリソース等を踏まえて働きかけるポイントを考えてみるのもいいです。
なお、このように問題の構造を考えることは、団体の活動を振り返ることにもつながります。ぜひこうした検討の場を定期的に設けてみてください。
事例
子どもの遊び場を運営する団体
この団体では、子どもたちの遊び場運営の資金を寄付で募っているが、思うように集まっていなかった。団体の代表は、「今の子どもたちになぜ安心して遊べる場が必要か」について団体内での共通認識を持てていないこと、ステークホルダーに対して十分に伝えきれていないことが原因だと考え、団体内で改めて検討の機会をもつことにした。
すると、日々遊び場で子どもたちと関わるプレイリーダーと管理スタッフとの間で見解の相違があることが見えてきた。それぞれの立場からの気づきや想い、さらには遊び場を利用する子どもや保護者等から寄せられた声も共有しながら、話し合いを重ねた。
その結果、「今の子どもたちはいつも何かを頑張ることを求められ、ぼーっとしたり、何かに興味をもったり、失敗できる場がない、という状況がある。だから団体では、家庭や学校とはまた違った人とのつながりを感じながら、安心して過ごせる場を子どもたちに提供する」といった言葉にまとめることができた。その後団体のホームページやチラシの内容もこれを踏まえたものに改善するとともに、遊び場での活動内容の見直しも進めていった。
チェックリスト
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取り組む問題に関する情報が、関係者間で適切に共有されていますか?
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問題が何によって引き起こされ、どこにアプローチすれば解決に向かっていくか、関係者間で認識は共有できていますか?
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団体のホームページや広報物等で、問題の構造と解決に向けたアプローチに関する説明がされていますか?
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